3度の流産を乗り越えて・・・『やっと出会えた我が子』

新連載！『ナースの涙』1話。 3度の流産を乗り越えて元気な赤ちゃんを出産された患者さんの物語です。

連載：ナースの涙

ナースの涙
ナースの涙1話 3度の流産を乗り越えて しょしょこいち
私は産婦人科で5年ほど勤務していました。その時に出会った一人の患者さんのことが今でも心に残っています。
その方との出会いは前田さんが妊娠8週目に診察に来られた時でした。 前田さんは「赤ちゃん元気に育っているかな」と嬉しそうにご主人さんと話されていました。
いざ診察となり経膣エコーで赤ちゃんの状態を確認していたところ、 心音が確認できず先生より前田さん夫婦に「流産の可能性が高いです。 もう一度別日に確認しますが流産処置についても考えていかなくてはなりません」と告げられました。
その後の採血の際、前田さんは「これで流産3回目なんです。今回は心音も確認できて、やっとって安心していたのに」と両手で顔を覆い泣いておられました。
私は前田さんに寄り添い、そばらく横に座ってあえて何も言わず肩をさすって前田さんが落ち着くまで傍にいました。 しばらくして前田さんは少し落ち着きご主人とともに帰宅されました。
その数日後に流産手術の時、私は休みだったので前田さんには付き添えませんでしたが当日担当した看護師によると凄く落胆していたそうです。
それから数カ月して前田さんが来院されており話しかけると「また妊娠することができました。今回は心音もハッキリ聴こえて母子手帳をもらってくるように言われたんです」と嬉しそうに話してくれました。
それに対し私は「良かったですね。無事に赤ちゃん育ってくれていて私も嬉しいです」と伝えると前田さんは嬉しそうに微笑みました。
そこから何度か健診で前田さんと関わる機会があり、その度に「今回も赤ちゃん元気でした。良かった～。でもやっぱり毎回診察はドキドキするし胎動が少ないと心配になります」と想いを話して下さいました。
「少しでも心配事があれば、お電話してくれて良いんですよ。私たちもできる限り前田さんの力になりますし、前田さんの赤ちゃんに出会えること願っています」 そうすると前田さんは安心した顔になり帰宅されました。
そして、いよいよ前田さんが出産する時を迎え無事元気な赤ちゃんが誕生しました。
「本当におめでとうございます。ここまで不安もいっぱいあったと思いますが、よく頑張られましたね」 「ありがとうございます。色々不安もあったけど皆さんのおかげで、ここまでくることが出来ました」
流産を何度も経験している姿を見てきていた分、 前田さんの出産の時の緊張感や誕生した際の安堵感が強く、元気に赤ちゃんが産まれたことに心の底から感動しました。
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イラストレーター紹介

しょしょこいち

イラストレーターのしょしょこいちと申します。
看護師さんかっこいいです！
十人十色のかっこよさ、ほっこりとイラストで表現できたらなと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

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